社長ブログ No.40 ヘーベルハウスの外壁塗装 実践編

こんにちは、雨漏り110番相模原店 トーシンリフォーム 代表の田中です。
今回は「ヘーベルハウスの外壁塗装 実践編」をお伝えさせていただきます。
ヘーベルハウスとは何か?又は、業者選びについてお知りになりたい方は、※こちらの「ヘーベルハウスの基礎知識&業者選び編」をご覧ください。
ヘーベルハウスの塗装工事について
ヘーベルハウスの塗装工事はALCの外壁塗装と言い換える事も出来るかと思います。
ルールを理解すれば、難しくはありませんが、ALCの外壁の絶対数が少ないので、ALCの外壁塗装を深く考えない業者さんや、経験の浅い業者さんが多いように思います。
ALCの外壁塗装におけるポイント!
・新築時(前回塗装時)の仕様と現況の確認
・コーキング
・補修剤
・塗料
※一般住宅に使用される38mmの板は正式にはパワーボードと呼ばれますが、ここではALCと表記します。
新築時の仕様の確認と現況の確認
まず1つ目の新築時の仕様の確認と現況の確認です。
新築時の仕様が、弾性塗装なのか硬質塗装なのかを確認します。また、極端な濃色ではないかも確認します。
2度目以降の塗装工事の場合は、前回の塗装工事に使用された塗料の確認と、塗装時の施工写真の確認もします。


さらに、その施工が適切かどうかも重要です。十分に目止めがされているか、適正に塗装がされているか、熱膨れが発生していないか、表面の粉化(チョーキング)は酷くないか、コーキングは柔軟な状態か、等を目視や触診で確認します。
また、水分計を用いて、極端に含有水分量の多い箇所がないかを確認する事も必要かと思います。
しっかりと建物の状況確認をする姿勢があるかどうかというのは、現地確認に要する時間、検査機器等の装備によってある程度は見えてくると思います。
コーキング
次にコーキングですが、基本的には「打ち替え」が理想的です。
打ち替えとは、古いコーキングを撤去して、新しいコーキングを充填することです。





しかし、既存の目地のくぼみが深くて、既存のコーキングに割れが無く、柔軟性が保てている場合は、打ち増し(重ね打ち)でも可能かと思います。
ここで注意が必要なのは、打ち替えの場合は、高価格帯で高耐久コーキングは使用できないという事です。
高耐久コーキングは柔軟性がありつつも非常に丈夫ですので、大きな地震等で、外壁に想定以上の大きな力が掛かった場合、コーキングが割れずに外壁のALCそのものが割れてしまう可能性があります。
つまり、目地というのは、意図的に作られた弱い部分とも考えることが出来るので、無考えに丈夫にし過ぎてはダメという事です。
弊社では、オートンCP-1(オート化学工業)や、ウレタンコーク(大関)、を使用する事が多いです。


こちらの画像の、赤い矢印とオレンジ矢印の部分は、目地に沿ってALCが割れてしまっています。
この2件は、他社による塗装やコーキングが施工された別の建物です。
赤い矢印の物件の、前回の塗装工事の他社のお見積書には、目地コーキングは打ち替えで、変性シリコンコーキング充填するとの記載がありました。
オレンジ矢印の物件は、目地撤去・充填(オートンイクシード使用)と記載がありました。
共に、ALC目地の打ち替えでは使用する事が出来ない、不適切なコーキングですので、堂々と不適切な工事を行うと宣言しているようなものです。
しかし、ALC目地の補修が、増し打ち(重ね打ち)の場合は、変性シリコン系やオートンイクシード等の高耐久ウレタンコーキングを使用しても問題ありません。
増し打ちの場合は、目地の内部ではなく、表層に5mm程度付着することになりますので、想定以上の力が加わっても、ALCの板を割ってしまう事はありません。
補修材
次は補修剤についてお伝えします。
ALCに大きな穴が開いていたり、角が大きく欠けてしまっている時には、コーキングでは補修が出来ません。
補修の様子






セメント系の材料を使用して補修を行う事になりますが、通常のモルタルやコンクリートなどはALCの補修には不適切です。
ALCは、軽量気泡コンクリートと呼ばれるくらいですので、非常に軽量で少し脆い素材です。
重いモルタルなどでは、相性が悪く脱落などの危険性がありますので、性質が近く相性の良い軽量な補修剤で修繕をすることが好ましいと考えます。
弊社では、サンモルC(旭化成建材)を好んで選択しています。
塗料
最後に塗料についてです。
私が考える、ALC外壁の塗装に適切な塗料は、透湿性の高い塗料です。
透湿性は、通気性とも言い換える事が出来ますが、防水性とは対極にあるとも考えられます。
つまり、ALCの特性上、防水性の高すぎる塗料は、透湿性が低くなってしまうので、塗膜膨れのリスクが高くなってしまうと考えられます。
塗料の選定においては、水性塗料、硬質系、上塗りは艶を抑える、というのが基本的な考え方です。
また、下塗りには透湿性の高い、シーラー系の下塗りを用いることが理想的ですが、旧塗膜の状況によっては、微弾性フィラー系の下塗りを使用して微細なひび割れに対応したいと考える事もあるかと思います。



微弾性フィラー系の下塗りを選定する場合は、透湿性の高い微弾性フィラーが販売されていますので、価格は2倍以上と高額ですが、安心かと思います。
弊社では、アンダ―サーフDS(エスケー化研)や、ニッペパーフェクトサーフ(日本ペイント)を使用する事が多いです。
上塗りは、前述の通り、水性塗料、硬質系、上塗りは艶を抑える、というのが基本を抑えていれば選択肢は自由かと思います。(例外はありますが、実名での批判は控えさせていただきます)
以上となります。
弊社、トーシンリフォームの営業エリアの方であれば、弊社にお任せ下されば安心ですが、遠方の方の場合、弊社では対応できません。
少々難しい、ALC外壁の塗装工事をする上での、一助となって下されば幸いです。

長文を最後までお読みいただきありがとうございました。
投稿者プロフィール

- 株式会社トーシンリフォーム 代表
-
株式会社トーシンリフォームの代表の田中です。弊社は、塗装工事、防水工事、屋根工事を三本柱として住宅外部の改修工事をメインに行っている会社です。
小さな会社にしか出来ない、心のこもったサービスをさせて頂き、全てのお客様にご満足して頂けるよう精進いたします。
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