社長ブログ NO.34 パミールに塗装した結果についての考察

こんにちは、雨漏り110番相模原店 トーシンリフォーム 代表の田中です。
今回のコラムは、塗装が不可能と言われている屋根材、パミールに塗装した結果についての考察をさせていただきます。
まずは、パミールという屋根材についてですが、過去のブログにて、塗装が出来ないことを紹介しておりますので、パミールの詳細はこちらをご覧ください。
パミールはノンアスベストスレートの一種で、その中でも最も強度が弱い屋根材と断言しても良いくらいに、とても脆い屋根材です。
基本的には塗装は不可能ですので、トーシンリフォームでは塗装をお薦めする事はありませんが、築25年前後での屋根の葺き替えを検討している方や、一時しのぎであっても屋根の美観を優先されたい方など、何度か塗装を行ったことがあります。
では、塗装をすると実際にはどうなるか?という事例をご紹介いたします。
まずは、築12年でパミールの塗装をされた、S様宅の屋根塗装の様子をご覧下さい。
5年数位に屋根工事を検討しているから、それまで期間を綺麗にしてほしいというご要望でした。









屋根をしっかり洗浄し、剥離部分にシーラーを先行して1度塗り、その後、全面にシーラーを塗布し、上塗り2回で仕上げました。
S様宅は、シーラーも上塗りも水性塗料で塗装を行いました。
その後、7年経過した状態がこちらです。





パッと見は綺麗ですが、部分的な隔離が数多く発生しており、素地のセメント色がむき出しになっている箇所もあります。
その後、カバー工法にて屋根のリニューアルをさせて頂きました。
パミールに対する塗装が不適切な工事である事や、早期の剥離が考えられる事は、塗装の前にしっかりとご説明をさせて頂いておりましたので、剥離が発生してもクレームとはならず、「田中さんの説明通りになりましたね、時期が来たので屋根工事をお願いします」と、屋根工事のご用命を頂きました。
既存がパミールの屋根工事の場合は、釘のリコールに関係する事情があり、葺き替えが最良の選択ですが、防水紙を粘着ルーフィングにする事によって、そのリスクは回避できます。この件は、別の機会にお話させて頂こうと思います。
もう一軒、パミール塗装の案件です。
弊社で14年前に塗装をさせて頂いたのですが、10年以上先に屋根工事を検討しているが、それまで何とか持たせたいので、塗装不可は理解をしているが、その中で、最良と考えられる塗装をしてほしい、というご要望を受けての塗装でした。
以下、その際の写真です。




写真があまり残っていなかったのですが、洗浄を行い、強溶剤2液のシーラーを3回塗りし、弱溶剤2液の遮熱塗料を2回塗りしました。
その後、14年経過した状態がこちらです。





塗装が不可とされる、パミールに塗装をして、14年でこの状態であれば、かなり良い状態であるといえるのではないでしょうか?
軒先付近に剥離が見られるものの、全体的にはきれいな状態を保てておりました。
長持ちの要因として考えられる事
・強溶剤2液のシーラーを3回塗るという、通常では考えられないようなオーバースペックな仕様での塗装により、パミール本体がガチガチに固められた
・塗装を行ったのが、築年数の浅い状態であった
施工後14年経過していますので今回は、屋根の葺き替えやカバー工法での屋根工事をご提案させていただきました。





ご提案するにあたって重要な事
・パミールなどの塗装が出来ない屋根材を仕方なく塗装をするような場合は、剥離等のリスクをしっかりとご説明をさせて頂く事
・剥がれると分かっていても、最善であろうと考えられる塗装仕様を選択する、もしくはご提案する
最後になりましたが、弊社において、パミールの塗装を推奨しているという事は全くありません。
パミールは塗装不可の屋根材ですので、塗装をしてはいけません。
現在においては、パミール屋根の築浅物件は存在しませんので、前述のような奇跡は起こりえませんので、くれぐれも誤解のないようにお願い致します。
パミールに限らず、これからも未知なる問題建材は出てくると思います。
その際には、過去の経験を活かし、知恵を絞って、試行錯誤で対応するしかないのでしょうね。
少々、不謹慎かもしれませんが、正解のない工事について考えを巡らす事は、私にとって、とても楽しい仕事です。

長文を最後までお読みいただきありがとうございました。
投稿者プロフィール

- 株式会社トーシンリフォーム 代表
-
株式会社トーシンリフォームの代表の田中です。弊社は、塗装工事、防水工事、屋根工事を三本柱として住宅外部の改修工事をメインに行っている会社です。
小さな会社にしか出来ない、心のこもったサービスをさせて頂き、全てのお客様にご満足して頂けるよう精進いたします。
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