社長ブログ No.33 ALCパネル(ALC板)の塗装について
こんにちは、雨漏り110番相模原店 トーシンリフォーム 代表の田中です。
今回のコラムは、ALCパネル(ALC板)の塗装についての考察を紹介させていただきます。
ALCパネルって何?
最初にALCパネルとは何か?について解説させていただきます。
ALCパネルは、一般住宅からビルやマンションまで幅広く使用されている外壁材の一種です。
一般住宅では、ヘーベルハウス(旭化成)、積水ハウス、アイディホーム、がALCパネルの外壁を多く採用しています。
(名前が似ていますがセキスイハイムはALCパネルの外壁は、私の知る限りではありません)
ALCは、「Autoclaved Lightweight aerated Concrete」の省略ですが、簡単に言えば、軽量で気泡がたくさん含まれた、軽石みたいなコンクリートの板です。
ALCパネルのメリット
軽量かつ丈夫で、適切なメンテナンスにより50年以上長持ちさせることが可能です。
火に強く、断熱性が高い、優秀な外壁材です。
ALCのデメリット
デメリットは、表面の強度が弱い、水に弱い、維持するためのコストが高い、適切なメンテナンス方法を知らない業者が多すぎる事、などが考えられます。
厳密には、パネルの厚みが75mm以上はALC、75mm未満がパワーボードと呼ばれています。
一般住宅用の場合は、35mm~50mmを使用することが多いので、一般住宅の場合は、パワーボードが使用されていることになるかと思いますが、このブログではALCパネルと表現します。
ALCパネルの塗装で気を付けたい事
ALCパネルの塗装についての注意点をお伝えします。
さらっと前述しましたが、ALCパネルは水に弱い性質を持っています。耐久性は非常に高いのですが、それは水に濡れなかった場合の話であって、雨水がALCパネルに染み込んでしまうと、強度は脆くなっていきます。
そのため、「ALCパネルの塗装には防水性の高い塗料が必要」などと一般的に考えられていますが、そう簡単なものではありません。
防水性の高い塗装仕様の場合は透湿性(通気性)が低い事が多く、塗膜膨れが発生する可能性が高くなってしまいます。
また新築時に塗装済みのALCパネルは乾燥をしにくいため、内部の水分が残った状態で塗装をしてしまう事も多い事と、蓄熱性が高い事も、ALCパネルの塗装を膨れやすくしている原因となります。
では、どのように塗装をすれば良いか?
まずは、高圧洗浄を行った後に、外壁をしっかりと乾燥させることが重要です。
具体的には、高圧洗浄前に水分計を用いて外壁の含有水分率を計測しておき、洗浄後、壁内の含有水分率が洗浄前の数値まで戻るまで塗装を行わないことが必要です。
選定する仕上げ塗料については、通気性を優先し硬質系の水性塗料の三分艶の明るい色を提案することが多いです。(SK化研・プレミアムシリコン三分艶など)
どうしても、弾性塗料を選定する必要がある場合は、関西ペイントのドリームコートを提案します。
ドリームコートは、断熱性、透湿性、防水性を兼ね備えた塗料となります。但し、耐久性はあまり期待できませんが・・・。
下塗りは、微弾性フィラーと呼ばれる、微弾性系の下塗りを選定することが多いです。
一般的な微弾性フィラーとして、水性ソフトサーフSG(SK化研)や、アンダーフィラー弾性エクセル(日本ペイント)などが思い浮かびますが、私は、ALCパネルには不向きと考えています。
弊社で多く選定しているのは、SK化研のアンダーサーフDSと言う微弾性フィラーです。
水性ソフトサーフSGの2倍ほどの価格の塗料ですが、通気性の高い微弾性フィラーですのでALCパネルには最適かと思います。
他には日本ペイントのニッペパーフェクトサーフもお勧めです。
目地のコーキング(シーリング)について
目地のコーキング工事は、打ち増し(重ね打ち)と、打ち替えの2種類の工法があります。
目地にしっかりと凹みがあれば、打ち増しでも問題はないかと思います。
打ち増しの場合でも、亀裂のある部分は撤去して、なるべく新しく充填するコーキングの厚みを確保するように施工することが重要です。
使用するコーキングには特に指定は無いので、変性シリコンコーキングやウレタンコーキングがお勧めですが、ウレタンコーキングを使用することが多いです。
例えば、オート化学工業の超耐シーラーTF2000やオートンイクシードなどの高耐久のウレタンコーキングです。
目地に劣化があり、打ち替えが必要な場合には、注意が必要です。
劣化した既存の目地を撤去するという事は、イメージ的には新築時と同じような状態にしてから、新しくコーキングを充填することになります。
この場合は、丈夫すぎるコーキングは使用することができません。
コーキングの役割としてですが、建物に対して地震等の大きな力が掛かった場合に、緩衝材の役割を果たします。しかし、その緩衝材の役割では補えない程の力が掛かった場合には、コーキングが割れて、外壁が割れる事を防いでくれるという役割があります。
もしも、丈夫すぎるコーキングを使用してしまった場合は、コーキングが割れず、外壁のALCパネルが割れてしまう事になってしまします。
この事実は、広く知られていませんので、良い仕事をしたつもりで不適切な工事を行っている・・・などという事があるかもしれません。
ここでいう丈夫過ぎるコーキングとは、変性シリコンコーキング全般と、前述の超耐シーラーTF2000やオートンイクシードも含まれます。
弊社では、オート化学工業のCP-1や、大関という問屋さんのOEM商品のウレタンコークを使用することが多いです。
欠損してしまっている部分の補修について
ALCパネルは、軽石みたいなものなので、欠損部分の補修にはALC専用の補修材での補修が必要となります。
一般的なモルタルでも補修は出来るのですが、固くて重いモルタルとALCパネルは相性が悪く、後々のひび割れが懸念されます。
弊社では、旭化成建材のサンモルCを使用することが多いです。
補修材一つとっても、ALCパネルには専用の補修材が必要となりますので、ALCパネルは、塗装が難しい外壁材と言えるかと思います。
まとめ
残念ながら、ALCパネルの特性を理解し、塗装工事を行っている業者というのはあまりいないように思います。
それは、サイディングやモルタルに比べて、物件数が少ない事が原因かもしれませんが、最近ではALCパネルの外壁の住宅も増えてきました。
そろそろ、我々、塗装業者もALCパネルに対し、しっかりと向き合って考えるべき時期にきているのかもしれません。
このブログが、全国のALC外壁の家に住む方や、ALCパネルの塗装に悩む同業者さんの一助になれば幸いです。
長文を最後までお読みいただきありがとうございました。
投稿者プロフィール
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株式会社トーシンリフォームの代表の田中です。弊社は、塗装工事、防水工事、屋根工事を三本柱として住宅外部の改修工事をメインに行っている会社です。
小さな会社にしか出来ない、心のこもったサービスをさせて頂き、全てのお客様にご満足して頂けるよう精進いたします。
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